白い部屋に散る夢の声
ある朝起きると、白い部屋にいた。夢、か。 「起きたのね。伊藤周太郎。」 目の前に、少女が立っていた。小学生、3年生くらいだろうか。 「ここは『白い部屋』。別にあなたには何も望んでいないわ。好きなように過ごしてくれる?」 それだけ?じゃあ、俺はいつになったら出られるのか。 「私が満足するまでここにいてもらうわ。」 まるで心を読んだかのような即答。 暇だな。昼寝でもするか? 「私は特に何もしないわよ。だって、やるべきこともないしね。」 「お前は、何をしたいんだよ。そこに何もせずいられると気がちるんだけど。」 ・・・しばらくの無言。そしてーー 「もう何もないわ。なんだっていいの。したいことなんて、ない。」 無機質な部屋に、少女の声が響いた。 「お前は何でこの部屋にいるんだよ。昔はあったんだろ?大切なものが。」 「もういいわ。おやすみなさい。」 ああ、帰る時間だ。少女に名前聞けなかったな。意識が、落ちていく–––– 「ありがとう。」少女は静かに笑ってつぶやいた。