泣き虫な淡青色
自分以外、誰もいない生涯だったはずです。 私、「あお」はずっと独りだったのです。 だから、憂いも嬉しいも知らない。 感情が欠損したお人形さん。それが私。 うわべだけ、揃えて前ならえ。 右を指したら右、というように。 でも動きはせずに。水のように障害に合わせて。 思い出してしまう。 私を泣き虫な人魚姫だと言って、 変に酸素が多い世界にすくい上げてくれた。 「ほら、此処があおちゃんの世界だ。」 私の、名前を呼んでくれた。 あの時初めて「泣き虫」の本領を発揮した。 世界があなたの好きだといっていた淡青色に薄く染まって。 「水中に溶けてた涙は、もう忘れなよ 今からがあおちゃんの世界。ようこそ、あおちゃん」 うまく返せなかった。 でも、呼応するように大きく頷いて、 その度に涙が重力に従って落ちていく。 ああ、あの時のハンカチも淡青色。 思い出したら、笑えてきたよ。 泣いたまま、笑っちゃうな。 あの感情も、この感情も、恋。 あなたも思ってくれたのなら、愛。 忘れてしまっていいよ。 私もいつか忘れてしまうから。 「好きだった、大好き。××…!」 名前を呼んだ。 あなたの好きな淡青色の空に泳ぐ人魚姫になれたなら あなたを助けて泡になった、人魚姫になれたなら! あなたは、生きていた? 淡青色の世界で私は泣く。 欠損した感情が戻ってきたから。 消えてしまったあなたの代わりの感情が、 今まで堪えた感情が、全てこの雨とともに降ってきた。 酷いよ、酷いよ。 私は、淡青色の世界に確かに居た。 あなたとふたりで。 私は、あなた色に染まってしまった世界にいる。 ほんとうに、独りぼっちで。 淡青色の世界は、ひどく残酷なまま。 あなたのいない世界は、 淡青色でも、なんでもない。 …………………ただの、モノクロの情景。
みんなの答え
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好きなやつ!です!
不思議で、でも綺麗な表現で創り出される小説が大好きです!この小説もまさに!という感じで、とても引き込まれてしまいました。 色が多く出てくるのはなんでだろう?と思ったら最後…(´・ ・`) 魅せ方がとっても上手で尊敬しちゃいます! 次作も楽しみにしていますね♪