対等なんて嘘だから
「あはは。これ、前にアニメ、放送されてたよね?これは四巻目。映像が綺麗で感動した」 私が読んでいた小説を見て、小鳥遊(たかなし)先輩が笑った。 「特に最終回の桜のシーンで私は感嘆しました」 「続きが気になるね」 「原作の小説ではあの二人は今のところ、付き合ってません。しかも、あまり描かれてないんです。短編集では春夏秋冬と一年の日々が描かれていて」 「えー」 小鳥遊先輩は肩を落とした。 その様子が大学三年生とは思えない。 小鳥遊先輩は私の思いに気づいているのだろうか。 明日言おう。 そう思って、私は先輩と別れた。 翌日、私は大学に用が無い日だった。授業が無いのだ。 近くの公園に先輩を呼び出した。 指定した場所で先輩は昨日話したアニメの原作の小説を読んでいた。 あれは三巻目。 先輩は私に気づくと、本を閉じて、軽く手を挙げた。 「先輩。好きです。付き合ってください」 先輩は困ったように苦笑した。 「付き合ってもいいよ。でも、好きになれなかったら一ヶ月ぐらいで別れる。それでも良い?」 「良いです。分かりました」 先輩はこくりと頷いた。 付き合って三ヶ月目。 私は不安だった。 先輩は私のことが好きなの?好きじゃないの? 元々、私たちの立場は対等じゃない。 私たちの仲を終わらせる決定権は先輩にある。先輩の気持ち次第で私の仲は終わる。もし、先輩が一言「別れよう」と言ったら私は素直にその言葉に従うしかない。先輩は無理に私と付き合ってくれてるようなものだから。図々しい女ならわがままを言うかもしれない。でも、私にそこら辺の分別はある。 私は先輩の電話番号を見つめていた。 携帯電話の画面をタップした。 少し待つと、先輩は出た。 もしもしも言わせず、私は言った。 「先輩。駅の南口に来てください」 「何?花(はな)ちゃん」 先輩は木にもたれながら私に聞いた。 「先輩。私のこと、好きですか?」 先輩が目を見開いた。 少し恥ずかしそうに言った。 「好きだよ」 え。 想定外の答えに私は面食らった。 「友達としてではなく……?」 こくりと頷いた。 「勘違いしちゃってたか。確かに、言わなきゃ分からないよね。好きだよ。花ちゃんのこと」 恥ずかしくなってきた。 不安がってた自分が。 先輩の言葉に。 「またお願いします……」 「何をお願いされてるの?僕は」 「何言えば良いか分からなくて」 照れ隠しで笑いながら、私はさりげなく先輩の手を握った。