君と見るはずだった花火で。
「ばーん…。ぱんぱんぱん」 私はじぃっと光輝く空を見つめた。 君がいるはずだった1席を開けて。 光輝く花火が彼だったりして。いなくなった彼と見れるはずだったのに。 「グスッ、ヒッ グスッグスッ」 堪えきれない涙を浴衣の裾で拭う。 「…泣くなんてだせー」 一瞬だけ彼かと思った。優しい声。 「…朝日?どうして…」 朝日は幼馴染みで彼と付き合っているときですらずっと変わらない関係だ。 「彼、いなくなったから泣いてるんだろ。人いんだからやめろよ」 あえてずばりとした言葉に違う意味で涙がこぼれてくる。 「人の死は受け入れないといけない。…それまで俺じゃダメか?」 「あ、朝日、本気…だよね、」 「うん。だ、ダメならいいから、」 私は空に向かって問いかけた。 (朝日のところへ行け。前を向け。) 彼がそう言ってくれた気がした。 「いいよ。お願いしますっ」 朝日の手をぎゅっと握った。 朝日の声が彼と重なって聞こえたのはなぜか。私にはわかる気がする。 ふと見た花火に一瞬笑った彼の顔が見えたような気がした。