語句そば
厨房はカーテンでしっかり覆われ、人もいないし、メニューも、店員さえもいないように見える。 とりあえず席に着いた紀味子は、机に置いてあるメモを見た。 「四字熟語や慣用句などでご注文願います」 と殴り書きしてある。 (変な店…) 名前からこの店はおかしかった。 言葉で注文しろと言われても困る。 (どうしよう…何を言えばいいの?そば屋…) 悩んでいる紀味子の口から 「喜怒哀楽」 という言葉が出てきた。自分でもよく分からなかった。 確かに今日はお客さんも多くて嬉しかったり、災難だらけで苛ついたり悲しかったりした。 楽しかったかどうかは分からないが、色々な感情を抱いた。 そんなことを考えているうちに、机の上にそばが置いてあった。 梅干し、油揚げ、貝割れ大根、ねぎといったものがのっている。 「美味しそう…」 紀味子はそばを食べ始めた。 食べ始めてやっと不思議に思った。 一体、いつ誰がそばを出したのだろう? そもそも、こんな店見たことなかった。 そば屋を知り尽くしているはずの紀味子が。 やっぱりそばは美味しかった。 色々とのった具材は、今日の心に似た味をしていた。 ピリッとすっぱい気持ち、ホロホロした優しい気持ち、そして噛めば噛むほど… 涙が止まらなくなった。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
想像がふくらむ!
小説良かったです! 面白い店ですね。本当にあったら私.常連になります(笑)。 これ,いろんな想像ができますね。 「一石二鳥」は.一度に二つの味が来るとか?どういう感じなんだろ… 「急がば回れ」は,ガッツリした主食が来る前に、落ち着いた味の前食が出るコース料理? 「ぜんは急げ」は,栄養がたっぷり入ったわんこそば? 「広大無辺」だったら,リアルに広大無辺で無限大の大きさの!?…てそんなわけないか…? いや~いろいろ考えられますね。しばらく想像して楽しもうと思います(?)。
面白かった
短い話なのに、心に残る感じで面白かったです! そばの具材の表現が、とても美味しそうで好きです。 ピリッとか、ホロホロとか…… あの慣用句だとどんな味になるのかな、などと想像ができて楽しかったです! 僕の好きな、『一期一会』だと、一口ごとに違う味なのかな、とか。 もし次の作品も投稿してくださるなら楽しみにしてます……!