精神と身体
クラスには努力家の女子がいる。その名は美香。 美香は、努力が全てだと思い込んでいる。全ての時間を練習に費やす。 「ねえ、遥は努力しないの?練習しないの?」 『遥って呼ばないで。大谷って呼んで。苗字は嫌いなの。』 私は遥という可愛らしい名前が嫌いだった。両親は、はると呼んでいる。 でも、友達でもない人にはるなんて呼ばせたくない。 「えーっと、大谷、練習しなさいよ!運動会はもうすぐだよ!」 人にまで練習を強要させるのか?美香は! 『無理してるでしょ?』 誰だって見たらわかる。話が繋がってないのもわかる。でも…… 「今は無理しないとだめなの!運動会で、恥なんてかきたくない。」 『ねえ、美香は間違ってる。集中力を切らしたままの練習なんて意味ない。いつか壊れる。』 っていうか、壊れかけだけど。 「私は、大谷とは違って精神力が強いもん!まだ大丈夫!」 見たらわかるって何度言えばいいのか、こいつは! 『身体は正直みたいだけど?ほら、息切れしてんじゃん。今日は練習やめなって。』 「私に恥かかせよっていうわけ?酷!」 クラスはザワザワしてきた。 恥かかせる訳なんかないでしょ。美香もクラスメイトだから、大事に思ってるんだけど。 私は美香より、美香の身体を考えてる。 『精神は嘘をつける。身体は、嘘はつけない。いつだって正直。今の美香は、身体が示してる。』 そう言って私は、家に帰った。美香の身体は、もうすぐ限界になる。 不器用な私は、言葉でそれを示した。